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【2016年1月22日】印刷用PDF 印刷用

抗悪性腫瘍剤「タルグレチン®カプセル75mg」(一般名:ベキサロテン)皮膚T細胞性リンパ腫の適応で製造販売承認を取得

株式会社ミノファーゲン製薬(本社:東京都、社長:宇都宮徳一郎)は、2016年1月22日、日本において開発を進めておりました「タルグレチン®カプセル75mg」(一般名:ベキサロテン)について、「皮膚T細胞性リンパ腫」(Cutaneous T-Cell Lymphoma:以下、CTCL)を効能・効果として製造販売承認を取得しましたことをお知らせします。


「タルグレチン」は、1999年に米国で「Targretin®」の製品名で承認され、39の国または地域*1において、CTCLの治療剤として販売されています。欧米ではNCCN(National Comprehensive Cancer Network)やEORTC (European Organisation for Research and Treatment of Cancer) などの主要な治療ガイドラインにおいて、本剤は、CTCLに対する治療法の一つとして推奨されています。


「タルグレチン」は、レチノイドの一種であるベキサロテンを有効成分とする抗悪性腫瘍剤で、レチノイドX受容体(RXR)に対して選択的に結合し、アポトーシス誘導及び細胞周期停止作用により腫瘍増殖を抑制すると推測されています。


CTCLは、がん化したT細胞が主に皮膚で増殖・進展し、多発や再発を繰り返しながら数年から数十年の緩除な経過で進行していき、まれに予後不良に至る皮膚リンパ腫であり、菌状息肉症・セザリー症候群がその代表的な臨床病型として知られています。厚生労働省大臣官房統計情報部が集計した患者調査(平成23年患者調査、閲覧第97表、総患者数、疾病基本分類)によれば、菌状息肉症の患者数は国内で1,000人と推定される希少疾病です。本剤は、厚生労働省より2013年3月に希少疾病用医薬品の指定を受け開発を進めてきました。


今回の承認は、国内で行われた第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(B-1101試験)と海外臨床試験の成績に基づいています。


当社は、「タルグレチン」を希少疾病であるCTCLの治療における新たな治療選択肢の一つとして患者様のQOLに貢献するとともに、本剤の承認条件として定められている特定使用成績調査(全例調査)を適切に実施し、適正使用を推進して参ります。


*1 2015年8月時点

以上

本件に関する問い合わせ

 株式会社ミノファーゲン製薬  管理本部
TEL: 03-5909-2323

<参考資料>
1.    製品概要
1) 製品名
タルグレチン®カプセル75mg
2) 一般名
ベキサロテン
3) 効能・効果
皮膚T細胞性リンパ腫
4) 用法・用量
   通常、成人にはベキサロテンとして1日1回300mg/m2(体表面積)を食後経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
2. 開発の経緯
   「タルグレチン」は、米国Ligand Pharmaceuticals社により創製され1994年より臨床試験を開始し、1996年には、米国、欧州及び豪州にて、皮膚T細胞性リンパ腫を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験(L1069-23試験、L1069-24試験)を実施し、良好な有効性と忍容性が示されました。この結果を受けて、米国では1999年に「少なくともひとつ以上の全身療法に対して治療抵抗性を示した皮膚T細胞性リンパ腫」、欧州では2001年に「少なくともひとつ以上の全身療法に対して治療抵抗性を示した進行期皮膚T細胞性リンパ腫」の治療薬として承認を取得しました。
   当社は、2011年3月に日本、2012年3月にアジア・オセアニアなどにおける本剤の独占的開発権ならびに商業化権に関するライセンス契約をエーザイ株式会社と締結し、2011年より国内で皮膚T細胞性リンパ腫患者を対象とした臨床試験を開始しました。2013年には厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受け、海外及び国内臨床試験の結果をもとに、2015年3月に「皮膚T細胞性リンパ腫」の効能効果で承認申請し、2016年1月に承認を取得しました。
3. B-1101試験について
   B-1101試験(以下、本試験)では、第Ⅰ相で忍容性及び薬物動態の評価がなされ、第Ⅱ相では有効性及び安全性が検討されました。本試験は、組織学的に確定診断された皮膚T細胞性リンパ腫で、病期ⅡB以上、または病期IB~ⅡAで標準的初回治療(ステロイド外用を除く)に治療抵抗性を示した患者様(16例)を対象に実施されました。
   承認用量である300 mg/m2/dayで実施した第Ⅱ相パートにおいて、mSWAT(病変部位/紅斑/腫瘤等の体表面積に占める割合(%)に基づきスコア化)に基づく有効性評価で13例中8例(61.5%)に奏効(50%以上の改善効果)が認められました。
   本試験において、安全性評価対象16例中16例(100%)に副作用(臨床検査値の変動を含む)が認められました。報告された主な有害事象は、甲状腺機能低下症15例(93.8%)、高コレステロール血症13例(81.3%)、高トリグリセリド血症12例(75.0%)、白血球減少症、好中球減少症及び白血球数減少各5例(31.3%)、貧血及び好中球数減少各3例(18.8%)、頭痛、悪心、嘔吐、肝機能異常、倦怠感、AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加及び血小板数増加各2例(12.5%)でした。
4. 欧州の治療ガイドライン
1) NCCN
   National Comprehensive Cancer Networkの略称であり、世界の25の主要がんセンターから構成される NPO団体です。NCCN は、高品質ながん医療の判定者として、患者、臨床医師及び他の医療政策立案者たちが使用するのに適した、臨床実践ガイドラインの意義を評価しています。
   NCCNガイドラインでは菌状息肉症・セザリー症候群に関して治療レジメを具体的に示しており、本剤は全身療法における治療カテゴリーAに分類され、早期(ⅠA~ⅡA)の症例において、局所療法後の再発や病勢進行を認めた症例に対する第2選択の治療レジメとして推奨されています。進行期(ⅡB、Ⅲ)の症例に対しては、全身療法の第1選択の治療レジメとされています。病期Ⅳにおいてもセザリー症候群に対する第1選択として示されています。 
2) EORTC
   European Organisation for Research and Treatment of Cancer(欧州がん研究・治療機構)の略称であり、ヨーロッパの国々が共同してがんの研究や治療を推進するための組織で、国際的に共通する治療ガイドラインの作成なども行っています。
   EORTCガイドラインで「タルグレチン」は、病期ⅠAからⅢBまでの局所療法後の第2選択の治療レジメとされています。病期ⅣA以降は推奨とされ、セザリー症候群に対しては第2選択となっています。

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