医療関係者の皆さま
是永先生

肝発癌には、免疫異常、慢性的な肝細胞障害や線維化進行が深く関与します。C型慢性肝炎は、B型慢性肝炎や自己免疫性肝疾患と比較して、「酸化ストレス」が亢進しているとされています。また、加齢や肥満、脂肪肝、糖尿病、アルコールは、それ自体が肝臓内の酸化ストレスを促進させます。そして、「酸化ストレス」は、線維化進行を伴わない高齢者の肝発癌、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からの肝発癌に深く関与していると考えられています。

鉄の肝内過剰蓄積は、Fenton反応によりヒドロキシルラジカルを産生することで、「酸化ストレス」に深く関与していると考えられています。鉄を過剰に蓄積させる肝疾患としてC型肝炎、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が報告されています。

またNASHは単に栄養過多による肝の脂肪化が原因と考えられていましたが、肝臓とは別の脂肪組織の炎症とそこからのアディポサイトカイン、さらには遊離脂肪酸による酸化ストレスなどが複合的に関与することが示唆されてきました。

NASHからの発癌が散見されるようになったことは、生活環境因子の増悪が発癌の促進・癌の進行の一因になっている可能性が高く、酸化ストレス抑制=発癌抑制の観点からは、薬剤投与のみならず、若年者からの生活指導介入が重要だと思われます。

脂肪肝だけで肝細胞が障害されることはほとんどありませんが、過剰な脂肪を処理するためミトコンドリアなどの機能が亢進しすぎると酸化ストレスの原因となり、そこに炎症性のサイトカインやLPSなどの刺激が加わるとNASHへと進展すると考えられています。

一方で、投与薬剤の抗酸化作用が強すぎると生体内で必要な酸化ストレスまで消去してしまい病態を悪化させる可能性がありますので、今後は、抗酸化剤投与中の効果判定などにも使用できる酸化ストレスマーカーが必要だと考えられます。

ここでは、「酸化ストレスと肝発癌」と「脂肪肝の成因とNASHへの進展」を解説します。

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