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みんなの肝臓
肝臓にはどんな細胞があるの?
肝臓の細胞

今から40年ほど前では、肝臓は均一の組織で、構成する細胞の種類も2,3種類と考えられていました。ところが近年新しい細胞がつぎつぎに発見され、現在では7~8種の細胞が肝臓という器官を構成していることが判ってきました。これらの細胞はさながらオーケストラのように協調し合って壮大な肝臓という交響曲を演奏しているのです。そのアンサンブルがうまくいかなくなると肝臓は病気になります。

つぎに肝臓を構成している細胞について簡単に説明しましょう(細胞ごとに色をつけています)。

肝臓の実質細胞(肝細胞)

肝臓の実質細胞

肝細胞は肝臓を構成する主要な細胞で、肝臓で行われる代謝のほとんどを引き受けています。肝細胞はもともと腸の上皮細胞から発生分化した細胞ですが、その過程で特殊な性質を獲得しました。単一の肝細胞は径約25~30μmの多面体で、類洞に対する面と互いに接着する面が区別されます。

肝細胞は門脈で運ばれてきた栄養素を吸収する一方、自身が合成した血漿タンパク質を血流へ放出するので、類洞に沿って1列に並んでいます。また合成した胆汁を肝細胞間に造られた毛細胆管へ分泌します。細胞質に多数のミトコンドリアをもち、旺盛なエネルギー代謝を伺わせます。よく発達した粗面小胞体ゴルジ装置は活発なタンパク質合成を反映しています。また解毒作用に関与する滑面小胞体も発達しています。

類洞内皮細胞

類洞内皮細胞

肝臓の類洞は特殊な内皮細胞で隔てられ、この内皮と肝細胞との間にはデイッセ腔と呼ばれる間隙があります。類洞内皮には径120nmの小さな孔が無数に開いており、この小孔を通して血液の液性成分やカイロミクロンのような小粒子は自由にディッセ腔へ流入し、肝細胞の細胞膜に接触します。類洞内皮細胞は血中へ放出されたヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、変性コラーゲンなどの巨大分子を受容体を介して特異的に取り込み処理します。

肝星細胞

肝星細胞の突起

肝星細胞はディッセ腔に位置し、類洞内皮を長い突起で取り巻いている細胞です。体内のビタミンAの80%はこの細胞の細胞質内の脂質滴に貯蔵されています。この細胞のもう一つの機能はコラーゲン線維を産生することです。肝炎が慢性化すると、肝星細胞が活性化して貯蔵ビタミンAを放出し、過剰のコラーゲン線維を造るようになります。この細胞が肝線維化や肝硬変症の主役を演じるので臨床的に大変注目されています。最近、肝星細胞に第4のグロビンが発見され「サイトグロビン」と命名されましたが、その作用はまだよくわかっていません。

クッパー細胞

クッパー細胞

類洞腔中にあって突起で内皮に接着しているマクロファージの一種です。異物や腸管由来の内毒素(エンドトキシン)受容体を介して取込み処理するなど、自然免疫の機能が発達しています。クッパー細胞は異物を貪食すると活性化し、種々の化学物質を放出して、肝星細胞を刺激し活性化させます。

単球由来マクロファージ

単球由来マクロファージ

肝臓に炎症が起こると血液中の単球がマクロファージへ分化し、クッパー細胞と同様な作用をするようになります。急性炎症時にこのマクロファージが急速に増加し、炎症が収まるとアポトーシスによって死滅します。

樹状細胞

樹状細胞

未成熟の樹状細胞は類洞腔内にあって血流で運ばれてきた抗原を取り込み処理します。その後肝臓の局所リンパ節へ移動して成熟樹状細胞となって処理した抗原をリンパ球に提示します。

クッパー細胞内皮細胞抗原提示能を持っていますが、樹状細胞はプロフェッショナルな抗原提示細胞です。自然免疫から獲得免疫へ橋渡しをする免疫細胞として最近盛んに研究されています。

ナチュラル・キラー(NK)細胞

ナチュラル・キラー細胞

細胞質に顆粒をもっている大型のリンパ球で、がん細胞やウイルス感染細胞を認識して接着し、パーフォリンという物質を放出して相手細胞の細胞膜に孔をあけ、その孔からグランザイムという細胞毒を細胞内へ注入し殺してしまう細胞です。正常の肝臓内ではこの細胞が常にがん細胞の出現を監視しています。

以上の細胞のうち、肝細胞以外は肝類洞壁を構成する細胞であるため「類洞壁細胞(sinusoidal cells)」 と総称されています。これらは肝小葉内の構成細胞です。肝臓の小葉間の結合組織(グリソン鞘)内には、胆管を造る胆管上皮細胞と結合組織細胞として筋線維芽細胞が観られます。

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