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みんなの肝臓
肝臓とはどんな器官で、どんな働きをしているの?

肝臓の大きさ

肝臓は最大の臓器で、成人男子で1200~1400g、成人女子で1000~1200gで、体重のほぼ2.8%に当ります。

<表1>体の臓器の重さ比較
臓器名 重さ
肝臓 1000~1400g
心臓 250~300g
腎臓 100~150g
脾臓 100~120g
膵臓 60~90g

肝臓の場所

肝臓は右図に示すように上腹部に位置しており、一部が横隔膜に付着しているので、呼吸運動に同調して肝臓も上下に動きます。

肝臓のほとんどの部分は肋骨の下に隠れますが(右図参照)、一部は腹壁を隔てて肝臓表面を触ることが出来ます。

肝臓の構造

肝臓を下面から見ると、ほぼ中央には肝臓の出入口があり、肝門(かんもん)と呼ばれています。

肝門からは門脈(もんみゃく)と肝動脈(かんどうみゃく)という2つの主血管が肝臓内へ入っています。

門脈は太い静脈で、腸や脾臓を循環して栄養分を豊富に取り込んだ静脈血を肝臓へ運んでいますが、酸素はほとんど消費し尽くされています。それでは肝臓の細胞が呼吸できないので、肝動脈が大動脈から直接酸素に富んだ動脈血を肝臓へ送り込んでいます。(上図)

肝臓へ流入する全血液量の70%は門脈血、30%が動脈血です。2つの血液は肝臓内で合流したあとに、類洞(るいどう)と呼ばれる毛細血管を流れ、栄養素を細胞へ分配したり、ガス交換をしたのち下大静脈を経て心臓へ戻ります。

実際に肝臓の細胞が機能する部分は類洞の部分で、その距離はせいぜい0.5~1.0mmほどに過ぎません。そのため、あの大きな肝臓のなかで、門脈も動脈も何回も枝分かれした後、合流して無数の類洞へ注がれていることになります。

肝臓で造られた胆汁(たんじゅう)は肝門から出る胆管(たんかん)を通って肝臓の下面に付いている胆嚢(たんのう)へ運ばれます。胆汁は胆嚢で一時貯められますが、食べ物が胃の中へ運ばれて来ると反射的に収縮して胆汁が十二指腸へ放出されます。

古代では肝臓はからだのなかで最も重要で神聖な器官と考えられていました。肝臓はからだのほぼ中央にあって、大きな臓器で、切ると大量の血液が流れ出たからでしょう。紀元前3000年頃、メソポタミアでは生け贄にした羊の肝臓を視て、その年の運勢を占う肝視術が占星術とともに発達していました。

東洋でも「肝心」「肝要」のように、重要な意味に「肝」の字が使われてきました。

肝臓の働き

肝臓は代謝の中心で多岐にわたる代謝を営んでおり、一大化学工場に例えられます。そのために完全な人工肝臓を造ることはできません。せいぜいハイブリッド型人工肝臓どまりで、人工の枠組みの上に肝細胞を植え付けて培養し、肝臓の機能を発現させることが限界です。

肝臓は日夜休むことなく、つぎに挙げるようなさまざまな代謝を営んでいます。(下図)

腸で吸収されたフルクトースガラクトースの単糖類は肝臓でグルコースに変換され、グリコーゲンとして肝細胞内に貯蔵されます。血液中のグルコースが不足したときは貯蔵グリコーゲンが分解されて、グルコースとしてエネルギー源になります。

中性脂肪やコレステロール、リン脂質などの脂質は小腸上皮で吸収され、リンパ管と血管を経由して肝臓へ送られます。肝臓はこれらの脂質にタンパク質を付加してリポタンパク質にして全身に分布する脂肪細胞へ送ります。

中性脂肪は肝臓で脂肪酸に分解され、エネルギー源として利用されます。

生命に必要なコレステロールを合成するのも肝臓の重要な仕事です。胆汁の成分である胆汁酸はコレステロールから造られ腸肝循環をしています。

免疫グロブリンであるγ-グロブリン以外の血漿タンパク質は肝臓で合成され、血中へ放出されます。アルブミンは血漿タンパク質の60%を占めています。

肝臓は小腸で吸収された必須アミノ酸から他のアミノ酸を生成します。役割を終えたタンパク質はアミノ酸に分解され、最終的に肝臓でアンモニアにまで分解され、尿素にして腎臓から排泄します。

寿命を終えた赤血球のヘモグロビンはビリルビンに分解され、肝臓から胆汁中へ排泄されます。

肝臓は腸内細菌がつくる内毒素(エンドトキシン)を処理したり、薬物や毒物を酵素の作用で無毒化します。摂取されたビタミンAは肝臓に貯蔵され、必要に応じて標的の上皮細胞へ送られます。

健康な人の肝臓は暗赤色(小豆色)で、肉屋さんでみる牛や鶏の肝臓(レバー)とほとんど同じ色と思ってください。ところが人の肝臓も「あん肝」や「フォアグラ」のように白っぽくなっていると脂肪が溜まっている証拠で、脂肪肝と呼ばれます。健康な肝臓の表面は平滑で光沢があり、触ってみると軟らかく弾力性があります。肝臓に線維が増える肝線維症や肝硬変では肝臓は固くなり、表面が凸凹を呈しています。ブタの肝臓は正常でもウシに比べると、赤みが少なく、固く、表面も多少ざらついているのは線維が多いためです。

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